平等原則の観点から通達評価を認めず財産評価基本通達総則6項が適用とされた事例

すでにマスメディアでも報道されていますが、4月19日に不動産の相続税評価について気になる最高裁判決が示されました。

裁判例結果詳細 | 裁判所 - Courts in Japan

被相続人が不動産購入、借入を行い、その相続人が財産評価通達により不動産価額を評価、相続税申告をしたところ、国税当局はこれを認めず伝家の宝刀といわれる財産評価基本通達6項を適用して鑑定評価額によるべきとして更正処分を行い争われた事案で、納税者敗訴が確定しました。

最高裁では、被相続人が行った不動産購入、借入などの行為(被相続人はこのとき90歳)は、近い将来の相続税の負担軽減を意図して行ったものと認定され、財産評価通達による画一的な評価を行うことは、本件のような購入、借入のような行為をせず、またはすることができない他の納税者に比べて看過し難い不均衡を生じさせ、実質的な租税負担の公平に反するというべきなどとして、相続人らの請求を棄却しました。

相続税の対策として不動産を利用するケースはよくあるものと思われます。このケースでは相続直前の対策であったり、相続人は相続後、当該不動産を売却したりと様々な要因もあったようですが、高額で過度な対策は留意が必要です。ただし、依然として6項の適用基準については示されていません。

財産評価基本通達6項 (この通達の定めにより難い場合の評価)
この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。